フェイク映像と電子署名 | リーテックス株式会社 特別企画(小倉隆志社長インタビュー)【Part3】
AI時代に突入した今、「本人がやったという証明がないものは、全て偽物という扱いにするしかない」と断言するリーテックス株式会社(以下、リーテックス)の小倉隆志社長。
フェイク映像による金銭的な被害が多発する中、どのような方法で映像に本人の証明を入れるのだろうか。この問いに対し小倉社長は、リーテックスのビジネスの中核を担う技術「ワンタイムデジタル署名(ONEデジ)」を用いて説明する。
「本人がやったという証明がないものは全て偽物」という認識を
AI時代に突入し、フェイク画像やフェイク映像が出回る昨今、「本人がやったという証明がないものは、全て偽物という扱いにしていくしかない」と小倉社長は断言する。
しかし、AIが作ったものかどうかを判断する技術はコストがかかるため、日常生活に取り入れるのは難しく、代わりに「電子署名を入れることで誰が作ったものであるかを判断」している。
フェイク映像が出回る中、どのような方法で映像に本人の証明を入れるのだろうか?
この疑問に、小倉社長は”キュウリ”を用いて説明した。
どうやって映像に本人の証明を入れるのか
デジタル証明をファイルの中に入れるのか、ファイルの外に置くのか。この2つには大きな違いがある。
前者は、そもそもの仕様に関わるためファイルごとに開発しなければならず、難易度が高い。一方で、後者は基本的にどのような形式のファイルにも入れることができる。
また、修正が入っているかを検知するためにはハッシュ関数を利用する。ハッシュ値とは、元になるデータから一定の計算手順で求められた規則性のない固定長の値で、元データを一文字でも変更するとハッシュ化されたデータは全く異なる結果になる。つまり、これが同じであれば「修正(改ざん)されていない」ということを確認できる。
前述の「どのような方法で映像に本人の証明を入れるのか」という疑問に話を戻そう。
映像ファイルのハッシュ値をとるには、コンピュータに計算負荷がかかり現実的ではない。そのため、映像を数秒単位に分割して細かく計算していく。
キュウリを薄切りにし、スライスされた2枚のキュウリを見比べたとき、「どちらも同じキュウリを切ったものなのか」を証明するのは極めて困難だ。
しかしリーテックスの技術は、同じドキュメントをもとにした「連続する電子署名」という構成のため「スライスされたキュウリが、同じ1本のキュウリを薄切りしたもの」という証明が可能なのだ。
日本を越えて「世界のインフラ」に
連続するハッシュ値が、”同一動画ファイルのハッシュ値の連続”であることを証明するリーテックスの技術は「AI時代にかかせないインフラになる」と小倉社長は自信を見せる。
今後の目標と計画について聞かれた小倉社長は「ONEデジの特許は5件申請し、3件は国内で成立。2件は審査中」とし、「この特許は日本だけではなく、アメリカ・EU・中国・香港・インド・シンガポール・インドネシアに出願し、グローバルに展開中」と説明。
各国で特許が成立次第、現地法人を設立してグローバルにサービスを展開していく予定だ。
リーテックスの核心技術である「ONEデジ」は日本を越え、やがては世界のインフラとなる日もそう遠くない。
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