責任あるAIの社会インフラ、デジタル証明 | リーテックス株式会社 特別企画(小倉隆志社長インタビュー)【Part2】
人間よりもAIが優秀になり、予想よりも速いスピードでシンギュラリティが起きた中、人間がAIと共存していくために何が必要なのか。
責任ある社会のインフラとなるためには「誰がやったことなのか、その証明が必要になる」と断言するリーテックス株式会社(以下、リーテックス)小倉隆志社長。
生成AIを利用した犯罪の増加に警察庁も危機感を強める中、小倉社長は「果敢に立ち向かう社会インフラの構築」を強く訴える。
シンギュラリティは予想よりも速いスピードで
人工知能が自己フィードバックによる改良を繰り返すことで人間を超える知性が誕生する仮説、それをシンギュラリティという。我々人間は、シンギュラリティは2035年頃に起こると予測していたが、想定よりも速いスピードで”その時”が来てしまった。
当初、「電子契約から電子記録債権につないで、契約書を担保にお金を借りる」という発想のもと事業を準備していた小倉社長だったが、生成AIの”成長”を目の当たりにして「さすがに、まずい」と感じたという。
AIが人間よりも賢くなる中、人間は勝てる見込みがない。なぜなら「生成AIはひとつのシステムの中で物事を考えて判断しているためコミュニケーションミスは起こらないが、人間同士では容易にコミュニケーションミスが発生するからだ」と小倉社長は説明する。
AI世界と人間世界には「境界線が必要」
知性でAIに勝つことができない、そんな世界で人間の尊厳を持って生きていくために何が必要か。
この問いに、小倉社長は「必要なのは、AI世界と人間世界の境界線」と断言した。
電子署名として開発したサービスをデジタル証明として、その活用方法を広げていくためには「AIではなく、人間がやったことである」と証明しなければならない。フェイクだらけの世の中でオリジナルの証明は、極めて重要となるからだ。
このように考える小倉社長は「人間とAIの間に境界線を引き、生成AIが作れないものをロジカルに構築していく」とし、AIとの”共存”を模索した。
「人間がやったことの証明」を社会インフラに
2024年5月、あるニュースが世界を騒がせた。
イギリスの某エンジニアリング企業の香港支社に勤務する会計担当が、本社に在籍するCFOとリモート会議を実施。この会議で送金指示を受けたため従ったところ、なんとこれは詐欺だった。CFO本人だと思っていた映像はフェイクだったのだが、会議中にAIと気付くことができなかったのだ。
この事件だけでなく、有名人らのフェイク映像を使ったSNS投資詐欺は横行し、被害額は同期比で見ると7倍に膨れ上がっている。
前述した事件の被害額は計2億香港ドル(約38億円)にのぼり、この規模で反社会的勢力に金銭が流れていけば、今後ますます相手の設備投資に追いつかなくなる。
このようなサイバー犯罪を食い止めるために「人間がやったことの証明を社会インフラとして整備したい」と語る小倉社長は、「身の丈に合わない『デジタル証明研究会』の発起人となって省庁に働きかけながら、AIが”当たり前”となった社会で生活するためにインフラとして何が必要なのかを提案していく」と今後を見据えた。
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