必見!電子契約導入時の調整ポイント

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    自社での電子契約サービスの導入が決定すると、取引先や社内での事務的なやり取りにおいて様々な調整が発生します。

    「何を調整していいかわからない…」、「面倒な調整を考えると頭が痛い…」といった悩みを解決すべく、この記事で調整のポイントを詳しく解説していきます。

    取引先との調整事項

    電子契約を開始するにあたっては、当事者間で契約を電子契約で取り交わすことについて、取引先から事前に同意を得る必要があります。

    いざ契約を取り交わす段階になってから同意を得ようとすると、取引先の社内調整に時間がかかって契約締結までに時間を要してしまいます。

    また、取引先での社内調整が上手くいかず、結局は紙の契約書での締結を求められたりする可能性も考えられます。そうならないよう事前に電子契約での締結について同意を得ることを忘れないでください。

    企業間の契約締結を電子契約で行なう際の同意取得に関して、具体的に以下のポイントを抑えておきましょう。

    契約締結を電子契約で行なうことに対する同意

    同意を得る内容は「どのような仕組み・システムを使って電子契約を締結するのか」、また「そのシステムの概要や電子証明書の発行にかかわる本人確認・身元確認の基準、電子署名に用いられる暗証コードであるPINの発行管理」などです。

    それまで紙で締結していた契約が電子契約に変わった際、具体的にどのシステムを使うのか、利用するシステムの仕様、そしてどのような管理体制で業務を扱うのかを丁寧に説明し同意を得る必要があります。

    電子契約を利用する担当者情報の申請

    続いて、実際に電子契約を使って契約締結を行う社員に関する確認と申請について、具体的な確認内容としては、

    • 申請された担当が、当該法人に在籍していることの確認
    • 申請された担当者が、当該法人の代表者または、代表者から契約締結の権限を委任された者であることの確認

    これらは、企業同士が取り交わす契約に対して、その締結の権限を有する者が担当者として実際に企業に存在し、また法人の代表者から契約締結の権限を与えられているかを確認する必要があるためです。

    これを疎かにすると、せっかく契約を締結しても無権限者もしくは在籍が確認できない第三者による無効な契約であると主張されるリスクがあるため、重要な確認ポイントになります。

    社内規定の見直し

    続いては、社内規定の見直しについてです。

    従来の紙を用いた契約は一般的に押印規定等の社内規定に従い、印鑑の捺印を行なっていました。

    これから新たに電子契約で契約締結を行うには、押印規定に代わり電子契約を用いた契約締結を行う「新たな運用のルール」を定義しなければなりません。

    規定策定に当たってのポイント

    電子契約の利用に関して、社内規定を策定するうえで注意すべきポイントは以下となります。

    • 電子契約の管理責任者
    • 電子契約により契約締結する担当者に対する権限の委任
    • 電子契約により契約締結する際の承認ルール
    • 電子契約の業務に携わる社員が遵守すべき事項について

    ルールの策定にあたり、既存の押印規定に電子契約のルールを追記して改訂する形でも、新たに電子契約規定を策定する形でも特に問題はありません。

    また、ルール策定のタイミングは社内規定の見直しを行う良いタイミングにもなるでしょう。

    そもそも従来の押印規定は、印鑑による押印を前提に内容がつくられています。その規定を見直し修正することで、現在の業務に沿った内容に生まれ変わり、業務の効率化を図ることができます。

    さらに、電子契約で締結された契約データは、クラウドサービス上や社内のファイルサーバー、文書管理システムなどで管理されるため、文書管理規定の修正も必要となる場合があります。

    文書管理規定を修正する場合は、以下の様な点に留意しましょう。

    • 電子契約で締結した場合の契約書保管先の追加
    • 文書にアクセスできる権限及び閲覧申請についてのルール追加
    • 契約文書の保管期限、廃棄ルールの追加

    これらの社内規定に関しても事前に確認、変更の対応を進めておくことで、電子契約を活用した契約締結業務へとスムーズに移行することができます。

    契約文書の見直し

    書面による締結を意図した文言が契約書内に含まれている場合、電子契約の導入に合わせたものに見直す必要があります。

    見直しのポイントは、以下の2点です。

    • 契約書の保管に関する文書の修正
    • 「書面」という文言の見直し

    まず1点目として、クラウドサービス内に契約文書を保管し、当事者間で共有するような仕組みを採用する場合、契約書内に記述される「合意の証として、本書 2 部作成の上で、甲乙が各 1 部を保管するものとします」などの内容は、実態と合わなくなります。

    例えば「本契約は電磁的に作成、保管するものとし、甲乙双方の電子署名をもって締結することとします」のような適切な内容への修正が必要です。

    2点目は、契約書内に「書面による取交し」など「書面」という文言が含まれている場合、これは「紙」による対応を意図した内容です。そのため、電子契約の導入後は実態と合わなくなるため、適切な内容に修正する必要があります。

    具体的には「書面」という文言を削除したり、「書面または電磁的記録による」といった表現への変更が考えられます。

    以上が、電子契約の導入時に抑えておきたい社内外の調整ポイントです。

    ここまで見てきたように調整に手間が掛かることは、否定できません。

    しかし、電子契約の導入には手間を上回る多くのメリットがあります。具体的なメリットについては別記事で詳しく紹介しているため、ぜひ「メリット」と「手間」を比較しながら電子契約の導入を検討いただければ幸いです。

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