今さら聞けない電子契約Vol.6 「紙の契約書、電子契約もいろいろあって、どう管理したらいいですか?(最終回)」

シリーズ「今さら聞けない電子契約」。最終回は、電子契約を実際に使っていった場合に対応しなければならない一番の課題を説明する。


紙と電子の混在管理は、紛失リスクが発生
現状では、まだ紙でなければ契約したくないという取引相手が相当数いますので、100% 完全に契約を電子化することは 難しい状況です。

実際に、下請代金支払遅延等防止法(下請法)では、3条で「当該下請事業者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって公正取引委員会規則で定めるものにより提供することができる」と規定しています。下請取引での電子契約化には、相手の同意が必要で、強要することはできません。このため、当面は 紙の契約書と電子契約書が混在します。

紙の契約と電子契約を合わせて管理することが必要になってくるのです。

また、電子契約にも様々なサービスがあります。取引先との関係で自社の利用ソフトではないもので契約をしたり、自社内でも、発注ソフトに連携している電子契約と人事労務管理ソフトと連携している電子契約が異なるといったことは、よくあることです。

ここで大事なのは、保存は一元管理でなければいけないということです。契約書がどこにあるのかがわからないというのは最悪です。紙の契約の難点は、紛失することがありえるということです。契約書は顧客対応の際に必要であることが多いので、支店などで管理しているケースが多いかと思います。しかし、本社の管理部門や、複数の部署で必要になるなど、保管している部署と違う部署で必要になると面倒な点や紛失リスクが発生します。


契約を一括管理するソフトが便利
その点、電子契約なら紛失する心配はありません。紙の契約も電子契約同様に電子化しましょう。紙の契約書をスキャンまたは写真撮影して電子化します。これにより、物理的な保管場所を気にせずにアクセスできるようになり、電子的な検索も可能になります。電子化した契約ファイルに適切なファイル名をつけ、フォルダ内での整理方法を検討しましょう。ファイル名には日付、契約相手、契約の種類などを反映させると良いでしょう。電子帳簿保存法やe文書法により、紙の契約を法規制の要件通りに電子化すれば、紙の原本を廃棄することも可能です。紙の契約を電子保存にして、一括管理するメリットは極めて大きいので、コストはかかりますが、一挙に電子化してしまうのも一考の価値があります。

また、電子化していても、異なるソフトウェアを並行利用していると、どこにあるかわからなくなる危険性があります。電子契約をダウンロードして、自分で保存することも可能ですが、契約の検索や期日管理などを考えると、契約を一括管理するソフトが便利です。契約結結するための電子契約ではなく、契約管理ソフトもいろいろ出ていますので、導入を検討されたらいかがでしょうか。

ここまで6回の連載にお付き合いいただきありがとうございました。「契約」も「電子化」もとっつきにくいテーマです。まして、その掛け算となる「電子契約」は面倒だなと思われているかもしれません。しかし、業務のDXはやり遂げなければなりません。「契約」だけ、アナログというのは、もはや許されなくなります。



※この記事は2023年8月6日に、ニッキンONLINEにリーテックスが寄稿したものです。

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