今さら聞けない電子契約Vol.5 「どんな電子契約を選べばいいですか?」

インターネットの普及やペーパーレスの進展などを背景に利用が進む電子契約。シリーズ「今さら聞けない電子契約」のVol.5では、さまざまな電子契約サービスが提供されるなか、導入時の注意点について解説する。

前回までの連載で電子契約の基本はお分かりになったかと思います。今回は、いよいよ導入に向けた電子契約の選び方です。



電子契約サービスの選び方とは
ポイントは〝何の契約に使うのか!〟です。

契約と言っても千差万別です。アルバイトの雇用契約のような少額で短期のものから、ビルを建設するような高額で長期保存のものまで様々です。

今さら聞けない電子契約


さらに、個別の業法などで規制されているケースもあります。まず、どのような契約に使うのかを確認しましょう。また、1ヶ月間の契約数、担当者から上司に決裁をもらわなければいけないのかどうかも重要です。

選ぶうえで最初にしなければならないのは、規制をクリアしているかどうかです。

電子契約一般を規制する法律はありませんので、どんな電子契約サービスでも絶対にダメだということはありません。

ただ、電子契約の重要な役割は、締結できるかどうかよりも、法的証拠となるかどうかです。

この観点から、電子署名を付与することが最重要です。電子署名法の第3条で「本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る)が行われているときは、真正に成立したものと推定する」と規定されています。この条文があることで、日本法上の電子署名が付与されている電子契約には証拠力があります。海外のソフトを利用される場合は、この点に注意が必要です。



電子帳簿保存準拠が最低限
また、契約のほとんどは金銭をやり取りすることが目的です。こうした契約は税法上7年以上の保存が義務付けられています。また、電子契約であれば、電子帳簿保存法の規制を受けます。そのため、最低限、電子帳簿保存法に準拠していることを選択基準にした方がいいでしょう。特に気を付けなければいけないのは、電子帳簿保存法の検索要件を満たしているかどうかです。これらについては、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(略称:JIIMA)が認定を行っています。

認定ソフトの一覧が掲載されていますので、参考にされるといいでしょう。

日本の電子契約のほとんどは電子署名の他にタイムスタンプも付与されていますので安心ですが、海外の電子契約ソフトにはタイムスタンプが付与されていません(※タイムスタンプが日本の国内制度のため)。この点には気を付けてください。電子帳簿保存法準拠であれば、保存に関しては、ほとんど問題ありません。



本人確認が課題
残る課題は本人確認です。電子帳簿保存法は保存の要件を定めている法律ですので、本人確認の規定はありません。しかし、電子契約の要件を個別に定めている建設業法などの法律では、本人確認、身元確認を行うことが定められています。このため、導入しようとしている対象の契約が個別業法の規制対象なのかを確認しておく必要があります。電子契約ソフトによっては、個別規制に対応した本人確認、身元確認が十分でないケースもありますので注意が必要です。

こうした規制の要件を満たしていることを確認したうえで、契約業務の性格によって、電子契約ソフトを選ばなければなりません。

実際の導入にあたっては、基本料金の他に従量制課金があるケースがほとんどですので、大量の契約処理を行うことで請求が跳ね上がることがあります。事前に見積もりを取ることをお勧めします。

セキュリティや本人確認のレベルについては、対象となる契約の重要性によって、個別に判断すべきです。電子契約ソフトによって、大きな違いがあることを良く理解したうえで選びましょう。



※この記事は2023年7月8日に、ニッキンONLINEにリーテックスが寄稿したものです。

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