2025年9月30日、国土交通省の建設業向け電子契約ガイドラインが24年ぶりに全面刷新されました。「立会人型(事業者署名型)」電子署名の適法性が初めて明確化され、多くの企業が使うクラウド型電子契約サービスが正式に認められる形となります。本記事では、旧ガイドラインとの違い・改正のポイント・企業の対応方法をわかりやすく解説します。
目次
そもそも「国交省ガイドライン」とは?

建設工事の請負契約は、建設業法第19条により、原則として書面での締結が義務付けられています。ただし、相手方の承諾を得たうえで所定の技術的要件を満たせば、電子契約(電磁的措置)での締結も認められています。
この「技術的要件」を具体的に示したのが国土交通省のガイドラインです。建設業界が電子契約を安心して使えるよう、満たすべき基準を定めた公式指針と言えます。
2001年(平成13年)3月
旧ガイドライン策定。建設業法改正により電子契約が初めて可能に。
2020年(令和2年)10月
建設業法施行規則改正により「本人性の確保」が技術的基準に追加。
2025年(令和7年)9月30日
新ガイドライン「電磁的措置による建設工事の請負契約の締結に係るガイドライン」施行。旧ガイドライン(平成13年策定)は廃止。
なぜ2025年9月に刷新されたのか?
旧ガイドラインは2001年の策定から20年以上が経過しており、当時は想定されていなかったクラウド型電子契約サービス(いわゆる「立会人型」)の普及という現実との間に大きなギャップが生じていました。
産業界からは政府の規制改革会議に対して「現在の技術動向を踏まえた見直し」を求める声が上がっており、特に立会人型電子署名の適法性が不明確なため、企業がサービスごとにグレーゾーン解消制度を使って個別確認しなければならないという事務負担が問題視されていました。
今回の刷新により、こうした個別確認の手間が大幅に減り、建設業全体の電子契約普及・生産性向上が期待されています。
新ガイドラインの3つの主要ポイント

① 「立会人型(事業者署名型)」の適法性を明確化
これが今回の改正における最大のポイントです。
電子署名には大きく2つの方式があります。当事者型(契約当事者自身が電子署名を付与する)と、立会人型(事業者署名型)(クラウドサービス事業者が契約当事者の指示を受けて署名を行う)です。クラウドサインやDocuSignをはじめ、多くの電子契約サービスは後者の立会人型を採用しています。
旧ガイドラインでは立会人型の適法性が明記されておらず、各社がグレーゾーン解消制度で個別対応していました。新ガイドラインでは、立会人型も建設業法上の電子契約として利用可能であることが初めて公式に明示されました。
② 電子署名の方式を3種類に整理
新ガイドラインでは、電子署名の方式が以下の3つに体系的に整理されました。
| 方式 | 概要 | 主な使われ方 |
|---|---|---|
| 当事者署名型(ローカル署名) | 第三者を介さず、当事者自身の端末で署名 | ICカード型電子証明書など |
| 当事者署名型(リモート署名) | 第三者のサービスを経由しつつ、自分の署名鍵で署名 | クラウド型当事者署名サービス |
| 事業者署名型(立会人型) | 事業者の署名鍵を用いて署名(ユーザーの意思確認あり) | クラウド型電子契約サービスの多数 |
③ 2要素認証の推奨と本人性確保の強化
立会人型を利用する場合は、ユーザーの意思による操作が確保されるサービスを選ぶこと、および2要素認証の利用が望ましいことが新たに盛り込まれました。本人性確保の手段が技術の進化に合わせてアップデートされた形です。
変わらない3つの技術的基準
今回の刷新後も、建設業法上の電子契約に求められる3つの根本要件は変わりません。サービス選定の際には必ず確認しましょう。
電子契約の3要件(旧・新ガイドラインで共通)
- 見読性の確保:契約内容が必要なときに速やかに画面表示・印刷できること
- 原本性の確保:契約内容が改ざんされていないことを証明できること(タイムスタンプ等)
- 本人性の確保:契約の相手方が確かに本人であることを確認できること(2020年追加)
企業はどう対応すればよいか

すでに立会人型サービスを使っている場合
新ガイドラインにより、立会人型の適法性がガイドライン上で明確化されたため、基本的に現行の運用を継続して問題ありません。ただし、利用しているサービスが2要素認証に対応しているか、本人性確保の要件を満たしているかを改めて確認することをおすすめします。
これから電子契約を導入する場合
今回の改正で「どの方式を選べばよいかわからない」という障壁が大きく下がりました。立会人型の一般的なクラウドサービスも選択肢に入れることができます。選定の際は以下の点をチェックしてください。
- 見読性・原本性・本人性の3要件を満たしているか
- 2要素認証に対応しているか
- 建設業法上の適法性がグレーゾーン解消制度等で確認されているか
- 請負契約書・注文書・基本契約書など、必要な書類に対応しているか
注文書・請書のやり取りが多い場合
建設業では請負契約書だけでなく、注文書と請書の形式で契約を行うケースも多くあります。新ガイドラインと同日付(令和7年9月30日)で、国交省は「注文書及び請書による契約の締結について」も最終改正しており、注文書・請書の電子化要件も整備されています。
ONEデジ®Documentで建設業の電子契約に対応
リーテックス株式会社のONEデジ®Documentは、建設業の請負契約書・注文書・基本契約書の電子化に特化した電子契約サービスです。
2024年2月29日、グレーゾーン解消制度により2通の回答書を取得しています。
- 建設業法上の適法性:経済産業大臣・国土交通大臣から、建設業法施行規則第13条の4第2項に規定する技術的基準を満たすことが確認済み
- 電子署名法上の「電子署名」該当性:内閣総理大臣・総務大臣・法務大臣・財務大臣・経済産業大臣の5大臣連名で確認。国の調達契約(会計法)・地方自治体との契約(地方自治法)でも利用可能
QRコードによる契約内容の真正性確認とハッシュチェーン技術による改ざん防止機能により、3要件(見読性・原本性・本人性)を確実に満たします。
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建設業の電子契約をもっとシンプルに。国が認めた電子署名で、取引先とのスムーズな契約締結を実現します。
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まとめ
2025年9月30日に施行された国土交通省の新ガイドラインにより、建設業の電子契約をめぐる環境は大きく変わりました。
- 旧ガイドライン(平成13年策定)が24年ぶりに全面廃止・刷新
- 立会人型(事業者署名型)の適法性が初めて明確化
- 電子署名の方式が3種類に体系的に整理
- 2要素認証の利用が推奨として明記
- 見読性・原本性・本人性の3要件は引き続き必須
建設業界全体でデジタル化が加速するなか、適切なサービスを選択して電子契約を導入することは、業務効率化だけでなく、取引先や元請け企業からの信頼維持にも直結します。今回のガイドライン刷新を機に、電子契約の本格導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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