契約書の電子化によるメリットまとめ
契約書を電子化すると、担当者や導入企業、そして取引先まで様々なメリットがあります。
しかし、電子契約を導入するという新しい取り組みにあたっては、躊躇する方も多いことでしょう。また、個人的には契約の電子化を進めたいが、社内の理解を得られないという声もよく聞きます。
そこで、この記事では「契約書を電子化することで得られるメリット」に焦点を当てて詳しく解説します。
契約書の電子化によるメリット
契約書の電子化によるメリットは多岐にわたります。
- ①印紙代の削減
- ②書類コストと郵送コストの削減
- ③事務作業時間の削減
- ④契約締結の時間を短縮できる
- ⑤コンプライアンスの向上
- ⑥BCP(Business Continuity Plan:企業継続計画)への効果
それぞれのメリットについて詳しく見てみましょう。
①印紙代の削減
印紙代の削減は、電子契約の導入で得られる大きなメリットとして挙げられます。
書面による借用書、取引の基本契約書、売買契約書、請負契約書などを作成する場合には、収入印紙を貼付する必要があります。
また、5万円以上の領収書にも印紙が必要で、紙文書を用いて取引を行う場合には印紙が必要で、特に高額な取引では高価な印紙を用意しなければなりません。
ところが、電子文書で契約書を作成すると、印紙は一切不要です。なぜ、収入印紙が不要になるのかについては、コラム:今さら聞けない電子契約②「電子署名とは?印紙税は本当に要らないの?」で解説しているため、ぜひ参照してください。
不動産や建築、工事、建設業等の企業では取引金額も大きくなるため印紙代も高額で、年間で数百万円に及ぶことも珍しくありません。その印紙代を削減できるのは、契約書を電子化する”代表的なメリット”と言えるでしょう。
②書類コストと郵便料金の削減
書面で契約書を作成する場合は、契約書をプリントアウトして製本テープなどで製本、捺印した上で封筒に封入して郵送します。当然ですが、そこには印刷代や用紙代など備品の経費と郵便料金が発生し、経費の負担が増加します。
さらに丁寧な対応をしようとすると、封筒に入れる際にクリアファイルで契約書を保護したり、送付状や取引先が使用する返送用封筒に切手を貼って同封したりするケースもあります。大企業では、これらの経費が積み重なり、年間で数十万円から数百万円に膨らんでしまいます。
しかし、契約書を電子化すれば、これらの費用は一切不要です。
③事務作業時間の削減
書類や郵便料金は目に見えるコストだが、次は”目に見えないコスト”の削減を挙げてみます。
契約書を作成して郵送する際は事務作業が都度発生し、相手先への郵送が完了した後も返送の状況を管理する必要があります。もし、スムーズに契約書を返送してもらえなければ確認や督促の連絡をしなければなりません。そして、返送後は届いた契約書への押印や署名内容に不備がないかを確認し、原本を保管する事務作業が発生します。
一方、電子契約であれば事務作業が一切不要になり、作業に伴う時間とコストを大幅に削減することができます。
また、ワークフローシステムを導入し、書類の作成や決裁業務など内部での処理は全て電子化されている企業も少なくありません。ところが、相手方に送る契約書だけは紙に印刷して物理的にやりとりをしている企業がほとんどなのが現状です。この部分を電子化すれば、事務作業時間が減り、さらなる業務の効率化につながります。
④契約締結の時間短縮
ここまでの説明はコストの削減や業務の効率化など、どちらかというと”守りのメリット”でしたが、次は”攻めのメリット”を挙げてみましょう。
契約書を電子化すると、印刷や発送の作業と時間が不要になり、押印処理も電子的に可能なため、タイムラグなく実行できます。
つまり、契約締結にかかる時間が大幅に短縮されるということになります。
例えば、融資に関する契約の場合、契約を電子化することで融資が実行されるまでの時間が短縮され、資金繰りの改善や競争力の向上につながります。
また、企業によっては受注の確定を契約書の到着で判断するケースも多く見られます。電子契約であれば郵送の時間がなくなり、受注の確定もスピーディーになるため、生産性のアップも期待できます。
⑤コンプライアンスの向上
企業では内部の不正防止など、コンプライアンスは非常に重要です。
そして、コンプライアンスにおいて必須の役割が相互監視などの監視体制であり、こうした監視を効果的なものにするためには、相手に気づかれないように情報を収集することが重要です。
紙の文書では管理部署に知られずに調査するのは難しいですが、契約書が電子化できれば電子契約システムの情報から、相手に知られずに調査を開始し、契約情報が膨大でも網羅的な調査を容易に実行できます。
結果として、コンプライアンスの向上が見込まれます。
⑥BCP(Business Continuity Plan:企業継続計画)への効果
契約書の電子化は、BCPという自然災害や火災、テロなどの非常事態に対して企業活動を継続するための施策として効果があります。
紙の契約書の場合、原本を保存する必要があり、コピーは原本と比べて証拠力が低くなってしまいます。なぜなら、原本であれば押印後に改ざんされるなどの変造が行われても検知可能ですが、コピーでは契約締結後の改ざんの有無を判定できないことが多いからです。
したがって契約書の原本を本社に、コピーを別の場所に保管しても、災害などで原本が失われた場合は、企業活動の継続に支障をきたす恐れがあります。
これに対して電子契約の場合は、原本・コピーの違いはありません。
最初に作成されたファイルでも、コピーであっても、電子署名が行われた時点のデータから変更されていないことを確認できるからです。
このように原本性を維持できることから、遠隔地にコピーを保存しておけば本社のファイルが喪失してしまっても、直ちに企業活動に支障をきたす恐れはありません。
また、災害に見舞われた際、紙の契約書を持ち出すのは容易ではありませんが、電子契約であれば契約の情報がデータ化されているため、新たな保管環境への移行も容易です。
以上の理由から、電子契約の導入はBCPにおいても大きな効果をもたらしてくれるでしょう。
今回解説した「契約書を電子化することで得られる6つのメリット」を大いに活用し、”契約の電子化計画”を一気に推し進めていただければ幸いです。
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