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「情報流通プラットフォーム対処法」の成立
橘:SNSが普及した現代において、警察や金融庁はどのような対策を講じているのでしょうか。 河原:有名人を語るなりすまし広告、権利侵害のおそれがある広告について2024年5月、「情報流通プラットフォーム対処法」という法律が成立しました。この法律は、SNS事業者に削除の申し入れをすると、受け付け窓口や削除に至る手続きなどを整備し、対外的に公表すること、削除依頼を受け付けた後の対応結果を原則1週間以内に通知することなどが求められます。
フェイク画像によるなりすましも巧妙化…米国大統領選挙、ウクライナ侵攻も標的に
橘:最近は、AIで作成されたフェイク画像によるなりすましも巧妙化していますね。 河原:2016年アメリカ大統領選挙をめぐり、ロシアによるアメリカの”世論の分断工作”が展開されました。また、2022年以降もロシアによるウクライナ侵略において、偽動画が出回りました。大統領の偽動画によって、ウクライナ国民の厭戦気分を煽るような影響工作が展開されました。最近では、パリオリンピックでセーヌ川の汚染をより強調するようなフェイク画像も拡散し、現在行われているアメリカの大統領選挙においてもフェイク画像を用いたネガティブキャンペーンが展開されています。
コミュニケーション相手の信頼性を担保し、情報の真正性を証明する技術が不可欠
橘:法律、技術など、どのような方法でアプローチしていくべきでしょうか。 河原:企業や個人が普段から基本的なセキュリティー対策を実直に行うことを”サイバーハイジーン”と言いますが、この大切さは今後も変わらないと思います。しかし、それだけで完全に犯罪の影響から逃れられる、犯罪を未然に防止できるとは言えなくなりました。人の生命、身体の安全に関する情報に加えて、事実の証明や権利・財産の得喪などに関するやり取りについては、今コミュニケーションをとっている相手の信頼性を担保し、やり取りしている情報の真正性を証明する手立てが求められます。 橘:私は今、河原さんと対面で収録していますが、もしオンライン収録だったら、相手がフェイク画像の河原さんでも気付くことができないかもしれませんね。 河原:最近、イギリス企業の香港支店で、生成AIで作られた偽の人格が登場するテレビ会議が行われ、騙されて送金するという詐欺事案も発生したので、対岸の火事ではありません。画像データに関しては、画像作成時の日時や位置を埋め込む技術的な国際標準がありますし、日本でも電子透かし技術のようなAIによるフェイク画像を判別する技術もあります。このようにセキュリティを確保する技術は、研究や開発の機運が高まっているのではないかと思います。”誰もが安心できるデジタル社会”に向けて
橘:見る側からしたら、組み込まれた技術をチェックするのは難しいですよね。

