電子署名機能を自社サービスに追加するには?内製・API連携・既存ツールの違いと選び方

電子署名機能を自社サービスに追加するには?内製・API連携・既存ツールの違いと選び方

目次

はじめに:「うちのシステムでも契約書を電子で交わしたい」と言われたら

「顧客から、システム上で契約書や申込書を電子的に交わせるようにしてほしいと頼まれた」「営業部門から、競合が電子署名機能を付けたので対応したいと言われた」。自社の業務システムやSaaSを担当していると、こうした要望に直面することが増えています。

ここで悩ましいのが、「どうやって実現するか」です。自分たちで作るのか、外部のサービスをAPIでつなぐのか、すでに使っている電子契約ツールと連携するのか。選択肢ごとに、費用も、かかる期間も、法的なリスクも大きく変わります。

結論から言えば、電子署名は「署名の画像を貼る」ような単純な機能ではなく、法的な有効性、改ざん防止、長期保存といった要件を満たす必要があるため、ゼロからの内製は負担が重くなりやすい分野です。そのため、外部のAPIを活用する方法が現実的な選択肢になるケースが多くあります。ただし、サービスによって仕組みや料金モデルは大きく異なるため、選び方が重要です。

本記事では、電子署名が有効と認められるための基礎知識から、3つの追加方法の比較、内製のハードル、API選定のチェックポイント、料金モデルの考え方、導入ステップ、失敗例までを順番に解説します。読み終えるころには、自社に合った進め方を判断するための材料がそろうはずです。

なぜ今、システムに電子署名機能が求められるのか

電子契約サービスを単体で使う企業は増えましたが、いま注目されているのは、自社の業務システムやSaaSの「中」で電子署名まで完結させる形です。その背景には、次の3つの流れがあります。

1. 画面の行き来をなくしたいという要望

契約や申込みの手続きで、システム上で内容を入力したあと、別の電子契約ツールにファイルを移して署名を依頼する、という運用は手間がかかります。入力ミスや二重管理も起こりやすく、現場からは「ひとつの画面で最後まで終わらせたい」という声が高まっています。

2. 紙の運用にかかるコストの見直し

紙の契約書には、印刷、郵送、保管といった手間と費用がかかります。契約の種類によっては収入印紙も必要ですが、電子データで完結する契約には、印紙税がかからないとする国の見解が示されています。コスト面の理由から、取引先に電子化を求められる場面も増えました。

3. 電子データの保存ルールへの対応

電子的に受け渡しした取引データは、電子帳簿保存法の定めに沿って保存する必要があり、2024年1月からは電子取引データの保存が完全義務化されています。電子署名の仕組みと、保存・検索の仕組みをあわせて整えることが、実務上の課題になっています。

こうした流れの中で、システムの提供側には「契約や承認の手続きまで含めて電子化できること」が、サービスの価値として問われるようになっています。裏を返せば、電子署名機能は、自社サービスの使い勝手と競争力を高める要素にもなり得ます。

基礎知識:電子署名が「有効」と認められる条件

実装方法を比較する前に、電子署名の前提を整理しておきましょう。ここを押さえておくと、サービスを比較するときの判断軸がぶれません。

電子署名法が求める2つの性質

日本の電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)は、電子署名にあたるための要件を定めています。ポイントは次の2つです。

  • 本人性:その署名が、誰によって行われたものかを示せること
  • 非改ざん性:署名のあとで、データが書き換えられていないかを確認できること

さらに同法の第3条では、本人による一定の電子署名が付された電子文書は、真正に成立したものと推定されると定められています。紙の契約書で、押印があれば本人の意思で作られたと扱われやすいのと似た考え方です。

署名方式は大きく2種類

電子署名の方式は、誰の鍵で署名するかによって、大きく2つに分けられます。

項目当事者型事業者署名型(立会人型)
署名の主体契約当事者本人が署名するサービス事業者が、本人の指示に基づいて署名する
本人確認の方法認証局が発行した電子証明書メール認証やSMS認証など
事前の準備電子証明書の取得が必要基本的に不要
導入のしやすさ手間がかかりやすい手軽で普及している

2020年には、事業者署名型でも、本人の意思確認などのプロセスが十分に備わっていれば、電子署名法第3条の対象となり得るという考え方が、総務省・法務省・経済産業省から示されました。このため、利便性の高い方式が広く使われるようになっています。

見落としがちな「時刻」と「長期保存」

署名そのものに加えて、実務では次の2点も重要です。

  1. いつ署名されたか:タイムスタンプなどで、時刻の信頼性を補強する
  2. 長期間にわたって検証できるか:電子証明書には有効期限があるため、保存期間中も真正性を確認できる仕組みが必要になる

機能を追加する側は、「署名ができる」だけでなく、「後から第三者に説明できる」状態まで設計しておく必要があります。これが、次の章で比べる実装方法の差に直結します。

電子署名機能を追加する3つの方法を比較

自社のシステムに電子署名の機能を加える方法は、大きく3つあります。まずは全体像を比べてみましょう。

比較項目① 自社で内製する② 外部の電子署名APIを組み込む③ 既存の電子契約ツールと連携する
仕組み暗号技術や保管の仕組みまで自社で構築署名の機能だけを外部から呼び出す別サービスの画面と、自社システムをつなぐ
開発の負担大きい中程度(連携部分を開発)小さい(設定や簡易な連携が中心)
法務・セキュリティの検討すべて自社で必要提供元の仕組みを確認すれば足りる範囲が広い提供元の仕組みに依存
画面(UI/UX)の自由度高い高い(機能のみ提供される場合)提供元の画面に依存
運用の手間大きい(保守・更新も自社)中程度小さい
向いているケース独自の要件が強い、開発体制が厚い自社サービスの中で、体験を統一したいまず素早く始めたい、利用者が限られる

どれを選ぶかの考え方

3つの方法に、絶対的な正解はありません。判断のポイントは次のとおりです。

  • 画面の一体感を重視するか:利用者に「別のサービスに移動した」と感じさせたくない場合は、①か②が候補になります。
  • 開発に使える人員と期間はどれくらいか:リソースが限られているなら、②か③が現実的です。
  • 利用者数や契約件数は見込めるか:件数が少ないうちは③、増えてきたら②へ移行するという段階的な進め方もあります。
  • 自社で法的な説明責任を負えるか:署名の有効性について、第三者から問われたときに説明できる体制があるかが重要です。

次の章では、とくに見落としやすい①の内製のハードルを具体的に見ていきます。

内製で見落としがちな5つのハードル

「署名のボタンを付けて、PDFに名前の画像を載せれば十分では」と考えると、後から大きな手戻りが発生しがちです。内製で電子署名を実現する場合に、つまずきやすいポイントを5つ挙げます。

1. 法的な要件の整理に専門知識が必要

電子署名法の定義や推定の考え方を、自社のサービスの仕組みに当てはめて整理する必要があります。解釈を誤ると、「署名はしたのに、法的な説明がつかない」という事態になりかねません。開発チームだけで抱えず、法務や弁護士との連携も欠かせません。

2. 暗号技術や認証の仕組みの選定

署名の方式、使用する暗号の種類、本人確認の方法(認証局の利用の有無など)を、要件に合わせて決めなければなりません。選定した技術が数年後に推奨されなくなる可能性もあり、継続的な見直しが前提になります。

3. 改ざん防止と時刻の証明

署名後に内容が変わっていないことを示す仕組みや、署名した時刻を証明する仕組みを、自社で用意する必要があります。ここは、第三者から検証されたときの説得力に直結する部分です。

4. 保存・検索の仕組み

電子取引データには、真実性を保つ措置と、日付・金額・取引先などで検索できる状態の確保が求められます。署名機能を作るだけでなく、保管と検索の機能もセットで設計しなければなりません。

5. 長期にわたる保守と法改正への追従

電子証明書の期限切れへの対応、暗号技術の更新、法令やガイドラインの変更への追従など、リリース後の負担は想定以上に大きくなります。担当者が異動したあとも、継続して維持できる体制が必要です。

これらはいずれも、サービスの本来の価値(顧客に提供したい機能)とは別に、リソースを割かなければならない領域です。開発が進んでから「想定外の負荷だった」と気づく例も少なくありません。

電子署名APIで実現できること:基本の処理の流れ

電子署名APIとは、電子署名に関わる処理を、外部のサービスから呼び出して使えるようにした仕組みです。自社システムの画面や業務の流れはそのままに、「署名」の部分だけを外部の機能に任せるイメージです。

一般的な処理の流れ

サービスによって細部は異なりますが、多くの場合、次のような流れで進みます。

  1. ファイルを登録する:署名の対象となる契約書や申込書(PDFなど)をアップロードする
  2. 署名者を登録する:署名する人の情報と、署名の順番(承認の順序)を設定する
  3. 署名を実行する:署名者が内容を確認して署名し、その記録が改ざんできない形で残る
  4. 完了を確認する:すべての署名がそろい、契約が成立したことを確認する
  5. 検索・取得・検証する:完了後の書類を条件で検索したり、ファイルを取得したり、署名の有効性を確認したりする

自社で実装する部分、任せられる部分

APIを使う場合でも、すべてを任せられるわけではありません。一般的な役割分担は次のとおりです。

  • 自社で実装する部分:署名を依頼する画面、署名者への案内、契約情報の管理、業務システムとの連携
  • APIに任せられる部分:署名の生成、改ざんを検知できる形での記録、署名の検証、ファイルの管理

画面や導線は自社で設計し、法的な根拠に関わる技術的な部分は提供元に任せる。この分担が、API活用の基本形です。

電子署名APIを選ぶときの7つのチェックポイント

外部のAPIを使うと決めたあとに待っているのが、「どのサービスを選ぶか」という判断です。機能表だけを見て決めると、導入後に後悔することがあります。次の7点を軸に比べてみてください。

No.チェック項目確認する内容なぜ重要か
1法的な位置づけ電子署名法上の位置づけをどう説明しているか。公的な確認や見解の有無利用者から「この署名は有効か」と聞かれたときの説明材料になる
2署名方式と本人確認当事者型か事業者署名型か。認証局の利用の要否。本人確認の方法導入のしやすさと、利用者側の準備の手間が変わる
3改ざん検知・時刻証明・長期保存署名後の変更を検知できるか。タイムスタンプや長期署名への対応数年後の紛争や調査でも説明できるかを左右する
4機能の範囲登録、署名者設定、検索、取得、検証など必要な機能がそろっているか足りない機能を自社で作ると、結局負担が増える
5画面(UI/UX)の自由度機能のみの提供か、画面も固定か自社サービスの使い勝手と、ブランドの一貫性に直結する
6料金体系と契約形態初期費用、利用料の仕組み、利用者との契約の要否、価格設定の自由度収益モデルや、利用者への案内のしやすさが変わる
7ドキュメント・サポート・試用API仕様書の公開、テスト環境、PoCの可否、問い合わせ対応導入にかかる期間と、リスクの見通しを立てやすくなる

優先順位のつけ方

すべての項目で満点のサービスを探すのは現実的ではありません。次のように優先順位を決めておくと、判断がぶれにくくなります。

  • まず外せない条件:法的な説明のしやすさ、改ざん検知、長期保存の考え方
  • 次に重視する条件:UI/UXの自由度、料金体系、機能の範囲
  • 導入をスムーズにする条件:ドキュメントや試用環境の充実度

候補を2〜3社に絞ったら、API仕様書を読み込み、小規模な検証(PoC)で実際の動きを確かめることをおすすめします。仕様書を無償で公開しているサービスなら、契約前でも実装のイメージをつかみやすくなります。

料金モデルの考え方:コストとして負担するか、収益源にするか

電子署名機能の追加は、開発費だけでなく、「利用料をどう扱うか」まで設計して初めて完成します。ここを曖昧にしたまま進めると、リリース後に採算が合わなくなることがあります。代表的な考え方は3つです。

モデル内容メリット注意点
コスト吸収型提供元への支払いを自社が負担し、利用者には追加請求しない利用者に受け入れられやすい利用が増えるほど自社の負担も増える
従量転嫁型契約や署名の件数に応じて、利用者へ費用を請求する費用と売上が連動し、採算を管理しやすい料金の根拠を丁寧に説明する必要がある
付加価値型電子署名を有料オプションとして位置づけ、収益の柱にする新たな売上を作れる機能の魅力と価格のバランスが問われる

契約形態も料金設計に影響する

APIの提供元によっては、利用者が提供元と別途契約する必要があります。この場合、利用者にとっては手続きの負担が増え、自社が価格を自由に決められないことも少なくありません。

一方で、自社のサービスの中だけで完結し、価格も自社で設定できるタイプもあります。どちらが良いかは、自社のサービスの性格によって異なります。

  • 既存の顧客に使ってもらうことが中心:利用者の手間が少ない形が望ましい
  • 電子署名を新たな収益源にしたい:価格設定の自由度が高い形が向いている

見積もるときに洗い出したい項目

  • 初期費用(導入時の費用、開発の人件費)
  • 月額・年額の固定費
  • 件数に応じた従量費用
  • 保守・運用にかかる人件費
  • 想定される契約件数と、利用者への請求額

「提供元にいくら払うか」だけでなく、「自社がいくら受け取れるか」を並べて比べると、採算の見通しが立てやすくなります。

電子署名機能を導入するまでの5ステップ

実際に進めるときの流れを、5つのステップに整理します。技術の検討から入りがちですが、最初の2つのステップを丁寧に行うことが、手戻りを防ぐ近道です。

ステップ1:対象にする書類と利用シーンを整理する

どの書類を、誰が、どの場面で署名するのかを洗い出します。契約書、申込書、同意書、社内の承認書類など、書類によって求められる厳格さは異なります。署名者の人数や承認の順番、ファイルの形式(PDFのみか、それ以外もあるか)もここで確認します。

ステップ2:法務と要件を確認する

対象の書類が、電子化できるものかを確認します。書面での作成が法律で求められている契約類型もあるため、法務部門や専門家への確認が欠かせません。あわせて、署名の有効性、保存期間、検索条件といった要件を文書にまとめます。

ステップ3:候補を絞り、仕様書の確認とPoCを行う

前章の7つのチェックポイントに沿って、候補を2〜3つに絞ります。API仕様書を読み込み、小規模な検証(PoC)で、署名の登録から完了確認までの流れが自社の要件に合うかを確かめます。

ステップ4:実装とテストを行う

署名を依頼する画面や、署名者への通知、完了後の画面などを実装します。テストでは、正常に署名できる場合だけでなく、次のような例外も確認しましょう。

  • 署名者が途中で操作を中断した場合
  • 承認の順番を間違えた場合
  • 通信エラーが発生した場合
  • 署名済みのファイルを再取得する場合

ステップ5:リリースと運用の体制を整える

リリース時には、利用者向けの案内資料と、問い合わせへの対応フローを用意します。段階的に利用者を広げていくと、トラブルがあっても影響を小さく抑えられます。リリース後は、署名の完了率やエラーの発生状況を確認し、画面や案内文の改善につなげます。

この5つのステップを通じて大切なのは、「技術的に動く」ことと「法的・運用的に説明できる」ことの両方を満たすことです。

紙の運用との両立:電子化しても「紙で提出して」と言われたら

電子署名を導入しても、すべての取引先がすぐに電子化へ移行できるわけではありません。行政機関や金融機関、大企業との取引では、紙での提出や保管を求められる場面がまだ残っています。電子化を進めるときは、この「紙との共存」を最初から想定しておくことが大切です。

よくある場面

  • 取引先の社内規程で、紙の書類の提出が決まっている
  • 監査や審査のために、紙に印刷した書類を提出する必要がある
  • 現場の担当者が、紙での確認に慣れており、印刷して回覧する

紙に出力しても、原本を確認できる仕組みをつくる

電子署名された書類を紙に印刷すると、そのままでは「この紙が本物か」を確かめにくくなります。そこで有効なのが、紙の書類に印字したQRコードなどから、電子上の原本にたどり着ける仕組みです。受け取った側がQRコードを読み取れば、署名済みの元データと照合でき、紙と電子の両方で真正性を確認できます。

APIを選ぶときには、「署名の機能がある」だけでなく、「紙に出力した場合の確認手段が用意されているか」も、チェックしておきたいポイントです。

紙との併用で注意したいこと

  • 印紙税の扱い:電子データのままやり取りが完結する契約には印紙税がかからないとされています。一方で、紙に出力した書類を正本として交付する場合は、扱いが変わる可能性があります。税務の取り扱いは、専門家や税務署に確認しましょう。
  • どれを正本とするかを決めておく:電子と紙の両方が存在すると、どちらが正式な書類か分からなくなります。社内規程で、正本の扱いを明確にしておきます。
  • 保管場所を一本化する:紙と電子で別々に保管すると、検索や管理が複雑になります。電子データを軸にして、紙は補助という位置づけにするのが基本です。

電子化の効果を出すには、「紙をゼロにする」ことよりも、「紙が残っても業務が止まらない」状態をつくることが、現実的な目標になります。

つまずきやすい5つの失敗例と対策

電子署名機能の導入では、似たような失敗が繰り返されがちです。あらかじめ知っておけば、避けられるものがほとんどです。

失敗例起こりやすい原因対策
署名はできたが、有効性を問われて説明できない法的な整理を後回しにした導入前に法務へ確認し、説明資料を用意しておく
利用者が使いこなせず、問い合わせが急増した操作手順の案内や画面設計が不十分だった段階的に展開し、ヘルプと案内文を先に整える
利用が増えるほど、費用が想定を超えた件数の見込みと料金設計が甘かった契約件数のシナリオ別に、収支をシミュレーションする
提供元の仕様変更で、連携が動かなくなった更新情報を確認する体制がなかった変更通知を受け取る担当を決め、テスト環境で事前確認する
数年後に、署名の真正性を確認できなくなった長期保存や証明書の期限を考慮しなかった保存期間の要件を定め、長期の検証に対応した方式を選ぶ

失敗を防ぐための共通ルール

5つの失敗例に共通するのは、「作ること」に意識が向き、「使い続けること」の設計が後回しになっている点です。次の3点を、計画の初期から決めておくと安心です。

  1. 責任の分担:署名の技術面、法的な説明、利用者対応を、誰が担当するか
  2. 見直しのタイミング:法改正やサービスの更新に、いつ・誰が対応するか
  3. 終わらせ方:提供元を切り替えるときに、過去の署名済みデータをどう引き継ぐか

特に3つ目は見落とされがちです。契約書は長期間保存するものなので、将来サービスを乗り換えても、過去のデータを検証できる状態を保てるかを、導入時に確認しておきましょう。

選択肢のひとつ:ONEデジ®APIという考え方

ここまでの内容を踏まえ、外部APIの一例として、リーテックス株式会社が提供する「ONEデジ®API」を簡単に紹介します。以下は、同社の公式ページに掲載されている内容に基づいており、詳細や最新の条件は公式ページでご確認ください。

先ほどの7つのチェックポイントに照らすと、特徴は次のように整理できます。

  • 法的な位置づけ:2024年2月に、グレーゾーン解消制度を通じて、5大臣連名で電子署名法第2条第1項の「電子署名」に該当することが確認されたと案内されています。
  • 画面の自由度:APIは機能のみを提供し、画面(UI/UX)は導入する企業側で設計する形です。
  • 料金と契約形態:初期費用は0円とされ、エンドユーザーと提供元の契約は不要で、利用者への提供価格は導入企業が決められると案内されています。
  • 紙への対応:紙に印刷されたQRコードから、電子上の原本を確認できる仕組みがあります。
  • 試用のしやすさ:API仕様書が無償で提供されており、PoCを実施することも可能とされています。

機能面では、コンテンツ登録、署名者登録、署名実行、完了確認、検索、詳細取得、ファイル取得、署名検証といった、本記事で説明した一連の処理がそろっています。

「利用者の契約手続きを増やしたくない」「電子署名を自社サービスの新しい収益源にしたい」といった要望がある場合には、こうしたタイプのAPIも比較の対象に加えてみる価値があります。もちろん、自社の要件に合うかどうかは、仕様書とPoCで確かめたうえで判断してください。

電子署名機能の追加に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 署名の画像を貼り付けるだけでは、電子署名になりませんか?

画像を貼り付けただけの「電子サイン」は、誰が署名したか、後から書き換えられていないかを確認する仕組みを備えていないことがあります。電子署名法上の電子署名にあたるかどうかは、本人性と非改ざん性を確認できる仕組みがあるかによって決まります。画像の有無ではなく、裏側の仕組みで判断されると考えてください。

Q2. 外部のAPIを使えば、法的な責任は提供元が負ってくれますか?

提供元が署名の仕組みを担っていても、契約や書類を扱うサービスの提供者としての説明責任は、導入した側にも残ると考えるのが安全です。提供元の仕組みについて、どのような根拠や確認があるのかを把握し、利用者に説明できる状態にしておきましょう。個別のケースは、法務部門や弁護士に相談してください。

Q3. PDF以外のファイルにも署名できますか?

サービスによって対応が異なります。契約書や申込書はPDFが中心ですが、画像、図面、その他のデータ形式の改ざん防止を求める場合もあります。対象にしたいファイルの形式が決まっているなら、選定時に必ず確認してください。

Q4. 社内にエンジニアが少なくても導入できますか?

APIの組み込みには、一定の開発の知識が必要です。開発リソースが限られる場合は、既存の電子契約ツールとの連携から始め、利用が広がった段階でAPIの組み込みへ移行する方法もあります。

Q5. 導入までにどれくらいの期間がかかりますか?

対象の書類の種類、署名の流れの複雑さ、画面の作り込みによって大きく変わります。まずはPoCで、署名の登録から完了確認までの最小限の流れを試し、そこから全体の期間を見積もるのが現実的です。

Q6. 電子化すれば、印紙税はかからなくなりますか?

電子データのままやり取りが完結する契約については、印紙税がかからないとする国の見解があります。ただし、紙に出力して正本として交付する場合など、扱いが変わる可能性があります。具体的なケースは、税理士や税務署に確認してください。

まとめ:電子署名機能は「作る」より「どう組み込むか」を考える

自社のシステムに電子署名を追加するときのポイントを、あらためて整理します。

  • 電子署名は、本人性と非改ざん性を満たす必要があり、時刻の証明や長期保存まで含めて設計するもの
  • 追加方法は、内製・外部API・既存ツール連携の3つ。画面の一体感、開発リソース、法的な説明のしやすさで選ぶ
  • 内製は、法務・暗号技術・保存・保守の負担が大きく、見落としが手戻りにつながりやすい
  • APIを選ぶときは、法的な位置づけ、方式、改ざん検知と長期保存、機能の範囲、UI/UXの自由度、料金と契約形態、サポートの7点を比べる
  • 料金は「提供元にいくら払うか」だけでなく、「利用者にどう請求し、いくら収益になるか」まで設計する
  • 紙との共存を前提に、紙へ出力した場合の確認手段も用意しておく

電子署名は、サービスの使いやすさと信頼性を高める機能であると同時に、設計を誤れば将来の負担になる機能でもあります。まずは、対象にする書類と利用シーンを整理し、候補のサービスの仕様書を読んで、小さなPoCから始めてみてください。

※本記事は2026年10月時点の情報に基づく一般的な解説であり、個別の法的助言ではありません。法令や制度は改正される場合があるため、実際の導入にあたっては、弁護士・税理士などの専門家にご確認ください。

参考にした情報