電子契約の導入を検討する際、「どの署名方式を選べばよいのか」という判断に迷ってはいませんか?市場に存在する「当事者型」と「立会人型」という2つの方式は、見た目は似ていても、その仕組み・メリット・法的効力は全く異なります。どちらを選ぶかによって、企業のコンプライアンス体制とビジネススピードが大きく変わる可能性があります。
多くの企業は「新しい技術だから当事者型を採用すべき」といった短絡的な判断をしがちですが、実際には契約の重要度や相手方の状況に応じた最適な選択が必須です。さらに複雑なのは、法的効力の理解です。かつて「当事者型だけが法的推定効を得られる」という認識が一般的でしたが、2020年の政府見解により立会人型でも十分な認証を備えれば法的信頼性が認められるようになり、状況は一変しました。
本記事では、電子契約の専門家として、当事者型電子契約の基礎知識から立会人型との決定的な違い、メリット・デメリット、最新の法的効力まで、経営陣と法務担当者が押さえるべき内容を網羅的に解説します。契約の金額規模、相手方のリテラシー、業界規制という3つの判断基準を用いて、自社にとって最適な署名方式を選択するための実践的なガイドをお届けします。
目次
当事者型電子契約の基礎知識と事業者署名型(立会人型)との決定的な違い
電子契約を導入する際、最初に理解しなければならないのが「署名方式」の選択です。現在、市場には大きく分けて「当事者型(当事者署名型)」と「事業者署名型(立会人型)」の2つの方式が存在します。この両者の違いを正しく理解することは、企業のコンプライアンス維持とDX推進のスピードを両立させるための第一歩となります。
当事者型電子契約の仕組み
当事者型電子契約とは、契約を締結する当事者それぞれが、あらかじめ「電子認証局」と呼ばれる第三者機関から発行された「電子証明書」を取得し、それを用いて電子署名を行う方式です。この方式の背後にあるのは、公開鍵暗号基盤(PKI)という技術です。電子認証局は、印鑑証明書を発行する役所のような役割を果たします。署名者は自分専用の「秘密鍵」を用いてデジタルデータを暗号化し、それを受け取った側は認証局が発行する「公開鍵」で復号します。これにより、「誰が署名したか(本人性)」と「データが改ざんされていないか(非改ざん性)」が厳格に証明されます。
事業者署名型(立会人型)の仕組み
一方で、現在ビジネスシーンで主流となっている「事業者署名型(立会人型)」は、仕組みが大きく異なります。
立会人型では、契約当事者が電子証明書を用意する必要はありません。代わりに、クラウドサインなどの電子契約サービス事業者が、利用者の指示に基づいて「この契約は〇〇さんと△△さんの間で合意されました」という署名を代行します。本人確認の手段としては、主にメールアドレスの認証や二要素認証(SMS認証など)が用いられます。いわば、プラットフォーム事業者が「立会人」として契約の成立を証明する形になるため、立会人型と呼ばれています。
アナログな契約に例えての理解
この違いをアナログな契約に例えると、極めて分かりやすくなります。当事者型は、役所に届け出た実印を使い、それが本人のものであることを公的な証明書で裏付ける、最も厳格な契約方式です。一方の立会人型は、日常的な業務で使用する認印(シャチハタなど)を押し、その前後のメールのやり取りなどで本人であることを補足する、簡便な契約方式だと言えます。つまり、当事者型は「実印+印鑑証明書」であり、立会人型は「認印+メールの履歴」という構図になります。
事前準備の違い
当事者型と立会人型の最大の違いは、契約締結に至るまでの「事前準備」にあります。当事者型では、署名者本人が事前に認証局へ身分証を提示して電子証明書を取得し、PCに専用のソフトやデバイスを設定する必要があります。この「重み」こそが信頼性の源泉であると同時に、導入のハードルにもなっています。
一方の立会人型は、メールを受け取ったその場で契約を完了できるスピード感があります。署名者側は特別なソフトのインストールも、事前のアカウント登録も不要です。送信されてきた契約書を確認して、ボタンをクリックするだけで署名が完了します。この仕組みの違いが、後のメリット・デメリットや法的効力の議論に直結していくことになります。

技術的な違いと実務的な位置づけ
技術的な観点から見れば、当事者型は「当事者自身が秘密鍵を管理し、その秘密鍵で暗号化を行う」というプロセスを通じて、より高い本人性を担保しています。これに対し、立会人型は「サービス事業者が本人の指示を受けて、あらかじめ設定された仕様に基づいて自動的に署名を付与する」という仕組みです。
実務的な視点から整理すると、当事者型は「法的な堅牢性」を最優先する企業向けであり、立会人型は「ビジネススピード」と「相手方への配慮」を優先する企業向けだと言えます。2020年の政府見解により、立会人型の法的地位も大幅に向上しましたが、それでも双方の本質的な違いは変わりません。
企業の意思決定に必要なこと
企業の法務部門は、この仕組みの違いを正確に理解した上で、契約の重要度や相手方の状況に応じて、最適な署名方式を選択する判断力を持つ必要があります。決して「新しい技術だから当事者型を採用すべき」といった短絡的な選択ではなく、自社のビジネス環境と法的リスク、そして取引先との関係性を総合的に勘案した意思決定が求められるのです。
当事者型電子契約を導入するメリット・デメリット2選
当事者型電子契約は、その厳格さゆえに特定のビジネスシーンにおいて極めて強力な武器となります。しかし、利便性とのトレードオフがあることも事実です。ここでは、導入前に把握しておくべき主要なメリットとデメリットをそれぞれ2つずつ深掘りします。
最高水準の本人性と非改ざん性の担保
当事者型の最大のメリットは、技術的・法的な信頼性が極めて高いことです。電子証明書の発行にあたっては、厳格な対面確認や公的書類による本人確認が行われます。認証局は、署名者が本当に本人であることを確認してから証明書を発行するため、「なりすまし」のリスクを物理的な印鑑以上に低減することが可能です。
また、公開鍵暗号技術によって、署名されたファイルに1ビットでも変更が加えられれば署名が無効になります。この性質により、非改ざん性の証明能力は極めて高いのが特徴です。立会人型の場合、サービス事業者のシステムに保存されたファイルが改ざんされるリスクが物理的に存在する余地がありますが、当事者型はそうした懸念が低いという点は見逃せません。
この「疑いようのない本人性」は、高額な取引や、万が一の紛争時に「私はそんな署名はしていない」という否認を防ぐ強力な抑止力となります。訴訟の場では、「相手方が署名したことは間違いない」という推定効(法律で定められた推定力)が3条に基づいて認められやすく、本人が否定することは極めて困難になります。これは、取引相手のセキュリティ意識が高い大企業や、金融機関と取引する際に特に重要な要素です。
さらに、当事者型での署名は、各契約者の秘密鍵を用いているため、その秘密鍵の管理レベルに応じて、さらに高い信頼性を実現できます。業界によっては、この「秘密鍵による個別の署名」という要件を法律で定めているケースもあり、特定の書類作成や提出において当事者型が実質的に必須となっている場合もあります。
長期的な証拠力の維持
電子契約には「長期署名」という概念があります。デジタルデータは、時間の経過とともに暗号技術や電子証明書の有効期限という課題に直面します。しかし、当事者型の場合、認証局の厳格な運用基準に基づいた電子証明書を使用するため、10年、20年といった長期間の保存が必要な契約において、その証拠力を維持しやすいという側面があります。
タイムスタンプと組み合わせることで、署名時刻の真正性も確保できます。これにより、「この契約は〇年〇月〇日に確実に成立した」という時間軸での信頼性も数十年単位で保持できるのです。
特に、建設工事の請負契約書や長期の賃貸借契約、知的財産権に関する契約、遺言信託など、数十年後に証拠能力が問われる可能性がある書類については、当事者型の方がリスクヘッジとして優れていると考えられます。立会人型の場合、サービス事業者の存続やシステム保持の保証が永遠にはないという点も、長期保存の観点からは無視できないリスク要因です。
また、業界によっては電子帳簿保存法に基づく「真正性の証明」が厳格に求められるケースがあります。当事者型は、この真正性証明を行う際に、より説得力のある証拠资料となるため、将来の監査対応やコンプライアンス評価においても有利に働きます。
契約相手への高い導入ハードル
当事者型の普及を妨げる最大の要因が、相手方への負担です。自社が当事者型を導入しても、契約相手(取引先)も同じように電子証明書を取得していなければ、この方式での契約は成立しません。
取引先に対して「まずは認証局で電子証明書を購入してください」「専用のソフトをインストールしてください」「ログイン方法を設定してください」と依頼することは、営業担当者にとって大きな心理的負担となります。特に、中小企業や個人事業主との取引において、こうした要件を課すことは、ビジネスチャンスの喪失につながりかねません。
結果として、契約締結のリードタイムを大幅に遅らせる原因となり、ビジネスのスピード感を重視する現代の営業活動において致命的な課題となります。新規顧客の獲得局面では、相手方に気軽に対応してもらえる立会人型の方が、実務上は圧倒的に有利です。
運用コストと事務負担の増加
当事者型は、コスト面でも負担が大きくなりがちです。電子証明書の発行には、一般的に年数千円から数万円の費用がかかります。また、証明書には有効期限(通常1~3年程度)があるため、期限が切れるたびに更新手続きを行わなければなりません。
社内の署名権限者が増えるたびに証明書を発行・管理する必要があり、情報システム部門や法務部門の管理工数が増大します。立会人型であればアカウントの管理だけで済むところが、当事者型では「物理的・デジタル的な証明書管理」という新たな業務が発生することになります。
特に、秘密鍵の紛失や漏洩時の対応も複雑です。秘密鍵が外部に流出した場合、その鍵で署名されたすべての文書の信頼性が失われる可能性があり、鍵の再発行手続きや関連文書の再署名といった対応が必要となります。こうしたセキュリティリスク対応の手間も考慮する必要があります。
また、複数の部門や拠点がある大企業では、証明書の一括管理体制の構築や、従業員の入退社時の手続き増加に伴う運用負荷も軽視できません。こうした「見えないコスト」が積み重なることで、総合的なコスト効率が立会人型より悪くなるケースも多いのです。当事者型を導入する場合は、こうした長期的な運用コストまで含めた検討が不可欠といえます。

電子署名法に基づく当事者型電子契約の法的効力と証拠力の真実
電子契約の導入において、法務担当者が最も懸念するのは「訴訟になった際に証拠として認められるか」という点です。日本の「電子署名法」における当事者型と立会人型の位置付けを整理することは、企業のリスク管理において極めて重要な作業です。
電子署名法の2つの重要な条文と推定効
電子署名法には、重要な2つの条文があります。第2条は何が「電子署名」にあたるかを定義しており、第3条は本人の意思に基づいて特定の要件を満たす電子署名が行われた場合、その文書は真正に成立したもの(本人が同意したもの)とみなすという「法的推定効」を規定しています。この推定効という概念は、訴訟の場において極めて強力な武器となります。
当事者型電子契約は、この第3条の要件をクリアすることが技術的に最初から想定されて設計されています。厳格な本人確認を経て発行された証明書による署名であるため、裁判になった際、会社側が「これは間違いなく本人が署名したものだ」と立証する負担が大幅に軽減されます。逆に相手方が「私は署名していない」と主張した場合、その主張を覆す立証責任は相手方に転換されやすいのです。
従来の法的解釈と当事者型と立会人型の位置付け
では、かつての電子契約に対する理解はどうだったのか。従来、「第3条の推定効を得られるのは当事者型だけである」という解釈が法的な標準とされていました。この認識は、一定の根拠がありました。当事者型は、認証局による厳格な本人確認とPKI技術による非改ざん性証明という二重の信頼性メカニズムを備えていたからです。一方の立会人型は、単なるメール認証という簡易的な確認手段に過ぎず、法的には「推定効が得られない、より弱い証拠」と位置付けられていたのです。
2020年の政府見解による転機
しかし、2020年(令和2年)、この状況は大きく変わりました。新型コロナウイルスの流行に伴う脱ハンコの流れと、それに応じた政府のDX推進政策を受けて、政府(総務省・法務省・経済産業省)は新たな見解を示しました。その内容は、多くの企業の関心を集めました。
「事業者署名型(立会人型)であっても、十分な水準の固有性が確保されていれば、電子署名法第3条の推定効が認められ得る」という内容です。この政府見解により、立会人型でも二要素認証などを組み合わせることで、法的な信頼性を担保できることが明確化されました。具体的には、メールアドレス認証に加えてSMS認証やセキュリティコードを組み合わせるなど、複数の認証層を設けることで、「十分な水準の固有性」が満たされると評価される可能性が出てきたのです。
この政府見解は、電子契約市場に劇的な変化をもたらしました。立会人型の法的地位が大幅に向上し、企業は必ずしも全契約を当事者型で行う必要がないという認識が広がったのです。市場の65%以上の企業が立会人型を選択している現状は、この2020年の政府見解が大きく影響していると言えます。

証拠力における両方式の差異
しかし、ここで注意すべき点があります。政府見解によって立会人型の地位は向上しましたが、それでもなお「証拠力」においては当事者型に分があるという点です。
立会人型の場合、裁判で署名の真正性が争われた際、サービス事業者のログファイルや認証プロセスが十分であったことを事後的に立証しなければなりません。つまり、「このメール認証はセキュアに行われた」「このSMS認証は本人のものである」ということを、事後的に証明する必要があるのです。これは、相応の手間と専門知識が必要な作業です。
一方、当事者型は「認証局が本人確認をした証明書」という動かぬ証拠が最初から存在します。電子認証局の監査記録や本人確認書類、秘密鍵の管理プロセスなど、事前に厳格に確保された信頼の仕組みがあるため、事後的に立証する必要性が低いのです。
つまり、立会人型は「運用によって証拠力を高める」方式であり、当事者型は「仕組み自体に高い証拠力が組み込まれている」方式だと言えます。この差は、特に身元確認が法的に必須となる一部の契約において決定的な差となります。例えば、金融機関との契約や、法人登記に関連する契約など、「本人確認が絶対的な要件」である取引では、当事者型の方がより安心といえます。
電子帳簿保存法への対応と長期保存
法的効力という点では、電子署名法だけでなく電子帳簿保存法への対応も不可欠です。当事者型・立会人型いずれの方式を採用するにせよ、データの真実性(改ざんされていないこと)と可視性(いつでも検索・閲覧できること)を確保する必要があります。当事者型はタイムスタンプとの親和性も高く、長期の保存要件を満たす上では極めて堅牢な選択肢となります。
実務的な使い分けとDXの最大化
実務的には、契約の金額や性質に基づき、適切な方式を選択することが重要です。高額・長期・重要度の高い契約であれば当事者型を、日常的で金額も小さい契約であれば立会人型を選ぶというアプローチが、現在のビジネス標準となっています。この使い分けができる企業が、法的リスクをコントロールしながら、DXの利益を最大化できる企業だと言えるのです。
自社に最適なのはどっち?当事者型電子契約を選ぶべき3つの判断基準
ここまでの比較を踏まえ、結局のところ自社にはどちらの方式が適しているのでしょうか。全ての契約を一つの方式に絞る必要はありません。契約の性質に応じて使い分ける「リスクベースのアプローチ」が現在のビジネス標準です。以下の3つの基準で判断してください。
判断基準1:契約金額と紛争時のリスク
まず考慮すべきは、その契約が失敗した際の影響度です。万が一の紛争時に、相手方が「そんな契約には署名していない」と主張してきた場合、どの程度の損失が発生するのかを冷静に評価することが必須です。
数億円規模の設備投資契約、不動産の売買契約、銀行融資に関連する契約、長期間の独占的ライセンス契約など、こうした契約は当事者型を選ぶべきケースです。これらの契約は、万が一「署名していない」と主張された際の損失が甚大です。仮に裁判になった場合、弁護士費用だけでも数百万円規模となり、さらに契約金額に応じた遅延損害金や機会損失が発生します。こうした場合、コストをかけてでも最高水準の証拠力を確保すべきです。
一方で、日常的な売買契約、秘密保持契約(NDA)、雇用契約、月数万円程度のSaaS利用契約など、こうしたタイプの契約は立会人型で十分です。これらは、スピードが優先され、かつ万が一の紛争リスクが限定的なものです。相手方の署名について争われる可能性は極めて低く、仮に争われたとしても損失額が小さいため、立会人型の「簡便性」の方が実務上のメリットが大きいのです。
実務的には、「その契約が破綻した場合の損失額が年間売上の1%を超えるか否か」という基準が、一つの判断の目安となります。年間売上の1%を超える契約であれば当事者型、以下であれば立会人型という使い分けが、多くの大企業で採用されています。
判断基準2:相手方のリテラシーと関係性
次に、契約相手の状態を確認する必要があります。同じ当事者型を導入するとしても、相手方がすでに電子証明書を保有しているのか、それとも一から導入が必要なのかで、現実的な実行可能性は大きく異なります。
相手方が大手企業で、既に自社で電子証明書を保有している場合や、グループ会社間での契約であれば、当事者型を選ぶ障害は低いです。こうした取引先は、DX推進の流れの中で既に各社員に電子証明書を配布していることが多く、追加の負担を強いることなく当事者型での契約が可能です。
逆に、取引先が中小企業や個人事業主であり、電子契約の導入に消極的な場合はどうでしょうか。相手方にコストや手間を強いると、ビジネスチャンスを逃すことになりかねません。市場の65%以上が立会人型を選択しているというデータを鑑みても、新規顧客との契約には立会人型が有利です。営業部門から見れば、「相手方にこれ以上の手間をかけさせるわけにはいかない」という現実的な判断が優先される場合も多いのです。
特に新規営業の局面では、契約プロセスをできるだけ簡素化することが受注確度を高めます。立会人型であれば、相手方はメールを受け取ってボタンをクリックするだけで完結するため、契約締結のハードルが限りなく低くなります。この「気軽さ」は、ビジネス上の大きな競争優位性となるのです。
判断基準3:業界固有の規制と法遵守(コンプライアンス)
特定の業界では、法律によって署名方式が実質的に指定されている場合があります。こうした業界固有の要件を見落とすことは、法的なリスクに直結するため、慎重な確認が必要です。
一部の公的機関への提出書類や、建設業法において「厳格な本人確認」を重視する場合、当事者型が実質的に必須となります。特に建設業界では、現在も当事者型が根強く使われており、大手ゼネコンとの取引では当事者型の電子証明書での署名が条件となることもあります。金融機関への融資申請や、知的財産権の登録に関連する契約も、法令で定められた厳格な本人確認が求められるため、当事者型が推奨されます。
一方で、多くの一般的なBtoB取引に関しては、立会人型で対応可能です。2020年以降、多くの規制緩和が進み、かつては書面必須だった重要事項説明なども電子化が可能になっています。デジタル庁の推進するDX戦略に基づき、政府機関も電子契約の利用を積極的に推奨しており、法的障壁は日々低くなっているのです。
現在のトレンドは、どちらか一方に決めるのではなく、両方の機能を備えた電子契約システムを導入し、使い分ける「ハイブリッド運用」です。例えば、自社は法務的なガードを固めるために「当事者型」で署名し、相手方は手軽な「立会人型(メール認証)」で署名してもらうという柔軟な運用が可能なサービスも増えています。これにより、自社のコンプライアンス要件を満たしつつ、相手方の負担をゼロにするという理想的な形を実現できます。
実務的なポイントをまとめると、契約の金額規模と紛争リスク、相手方の状況、そして業界固有の法的要件という3つの軸を総合的に評価することが重要です。DX推進の担当者や法務部門は、こうした判断軸を社内で共有し、営業部門や経営陣と協働してガイドラインを策定することをおすすめします。
結論として、「当事者型」は電子契約における「最後の砦」とも言える信頼の要です。一方、「事業者署名型(立会人型)」はビジネスを加速させる強力なエンジンです。まずはスモールスタートとして立会人型から始め、重要度の高い契約から順次、当事者型の検討やハイブリッド運用へと移行していくのが、最も現実的で失敗の少ない導入ステップと言えるでしょう。

