本年9月4日に、総務省、法務省、経済産業省の3省連名で7月17日に引き続き電子契約に関するQ&A「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法第3条関係)」が出されました。

いわゆる代理人方式電子署名(サービス提供事業者が利用者の指示を受けてサービス提供事業者自身の署名鍵による暗号化等を行う電子契約サービス)において、電子署名法第3条との関係で、事業者の電子署名を本人による電子署名とするための技術的要件が示されました。本人確認として2要素認証の必要性などがあげられています。 

しかし、最も重要なのは7月17日付のQ&Aの問3に引き続き9月4日付のQ&Aでも問4としてあげられた「電子契約サービスを選択する際の留意点は何か」ではないでしょうか。ここで、技術的要件以前の問題として、あらためて本人確認、身元確認の重要性が示されました。 

契約は、民法の契約自由の原則のもと、一部の規制されている契約(書面又は電磁的記録によることが義務付けられている保証契約など)を除き、当事者間で合意されていれば、口頭合意を含めてどのような手段でも契約締結できます。このため、契約するだけであれば、当事者間で合意がある限りどのような電子契約であっても機能します。

しかし、問題は当事者間で紛争になったときに、電子契約が裁判で証拠として通用するかどうかということです。これは、訴訟手続きを定めた民事訴訟法をベースに裁判所で判断されることとなります。 

この点を改めて注意喚起したのが、今回の電子契約に関するQ&Aです。 

電子署名法の第3条では以下のように定められています。 

第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。(※下線は筆者による)

電子契約が証拠となるための「真正に成立したものと推定」されるためには、当然「本人による電子署名」が必要です。 

今回のQ&Aでは改めてこの点が強調されています。

問4では以下のように記載されています。 

「問4 電子契約サービスを選択する際の留意点は何か。 
実際の裁判において電子署名法第3条の推定効が認められるためには、電子文書の作成名義人の意思に基づき電子署名が行われていることが必要であるため、電子契約サービスの利用者と電子文書の作成名義人の同一性が確認される(いわゆる利用者の身元確認がなされる)ことが重要な要素になると考えられる。 

この点に関し、電子契約サービスにおける利用者の身元確認の有無水準及び方法やなりすまし等の防御レベルは様々であることから、各サービスの利用に当たっては、当該サービスを利用して締結する契約等の重要性の程度や金額といった性質や、利用者間で必要とする身元確認レベルに応じて、適切なサービスを慎重に選択することが適当と考えられる。」(※下線は筆者による)

ここでは身元確認については「有無」という強い表現で、身元確認を全く行っていない事業者があることの注意喚起を行っています。 

また、技術の進歩で今後もいろいろなセキュリティ面の進歩はあるでしょうが、電子署名に関しては、すべての前提として身元確認が重要な要素であることが指摘されています。 

リーテックスデジタル契約では、銀行と同一レベルの本人確認、身元確認を行うと共に代表者に対して電子契約の取引責任者の確認を求めており、高水準の身元確認レベルを備えたサービスとなっています。 

契約を締結するということは取引にとって重要な要素となります。そのため、締結方法が手軽だから良いというわけにはいきません。費用を払って電子契約サービスを導入しても、裁判における証拠力が万一無ければ大問題です。 

大事なのは、基本に忠実に確認すべきことを確認することです。確認に手品はありません。面倒でも、きちんと行うことが極めて重要です。 

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